今日はフィンランドのメロディックデスメタルバンドChildren Of Bodom(チルドレン・オブ・ボドム)の、2015年に発売しました9thアルバムI WORSHIP CHAOS(アイ・ワーシップ・ケイオス)のレビューを書いていきます。
率直に言うと私的には過去作と比べて傑作とまでは言えまぜんが、賛否ある割に中々“良いアルバム”でした。
・音楽性は”Blooddrunk”以降の流れ
某CDショップからのお勧めメールに「初期の音楽性に回帰」と書いてありましたが、本当に初期(1st〜3rdや4th)辺りの物を想定して買うと期待はずれに感じてしまうと思います。
基本的な音楽性はBlooddrunk以降の流れであると感じました。
ギターソロとキーボードソロなどは直近の作品と比べても減り、よりモダンになったかなと言う印象があります。
・リードよりもギターリフ主体
リードは減りましたが、その代わり今回はギターリフとがなり声の特徴的なボーカルでアグレッシブにゴリゴリと押す感じになりました。
ギターリフに関してはAre You Dead Yet?以降を聴いている人であれば一発でチルボドだなと分かる特徴を今作でも持っており、随所で格好良いリフワークを聴く事ができます。
直近のアルバムを聴いている方なら問題無いと思いますが、ギターリフ主体と言っても低音(音程では無く音の周波数)を強く出したタイプでは無くギターの音作りとかミックス・マスタリングなどでギターは少々高めの音で調整されていると感じられるので、
昨今の低い方の音を強調するラウドなメタルサウンドを好む方には軽いと感じるかもしれません。
この辺は全体との兼ね合いやフレーズ感をだしたギターリフとの兼ね合いなのかなとも思います。
・後半から冴えるキーボードプレイ
リードプレイはやはり減り、特に前半の曲ではキーボードの音はあまり聴こえませんが、後半になると派手に盛り上げるパートも目立ち存在感を見せてくれます。
それでは各曲の印象や感想等を書いていきます。
アルバム I WORSHIP CHAOS 曲目
1 I Hurt
2 My Bodom (I Am The Only One)
3 Morrigan
4 Horns
5 Prayer For The Afflicted
6 I Worship Chaos
7 Hold Your Tongue
8 Suicide Bomber
9 All For Nothing
10 Widdershins
1 I Hurt
何やらノイズ的な音からチルボドらしいフレーズ感を出したギターリフが入る曲。
フレーズ感を出したリフとヘビーなリフを主体としてゴリゴリ押していくスピードナンバーで中々好感触な曲。
ギターソロが無くこの辺は意見が分かれると思いますが個人的には良い曲だと思いました。
2 My Bodom (I Am The Only One)
I Hurtに続くアグレッシブなスピードナンバー。
始まりから展開される軽快な刻みを主体としたギターリフが印象的です。
こちらではキーボードソロやギターソロが展開されますがこれもコンパクトで楽曲に対して自然と溶け込む感じでしょうか。
3 Morrigan
前2曲からはテンポを落としたミドルテンポの曲。
シンセストリングスなどの音が北欧的な冷たさを感じさせます、ギターリフもリード的な物が多くドラマ性を感じる曲です。
4 Horns
ブラストビートのドラムから始まる全体的にも勢いがある曲。
アイディアのあるフィルインなどは無いがドラムは全体的に勢いがありギターリフなどもアグレッシブ。
さりげなく入るキーボードソロとギターソロは流れを崩さず見事
5 Prayer For The Afflicted
シンセ音を強くだしたスローな曲、テンポアップはせず全体的に重々しく進行していきます。
6 I Worship Chaos
今アルバムのタイトルナンバー。
出初めからアグレッシブなギターリフと強烈なドラムから始まり、ギターと重なるようにシンセストリングスの音が混じる曲。
全体的なキーボード音色の使い方はチルボドらしさを感じます。
中盤では高速の同音連打が入るキーボードソロが展開されます(ギターならトレモロ ピアノならスパッタ?ですけどこの場合の名称はあるのでしょうかね)
7 Hold Your Tongue
ミドルテンポで始まる曲ですが途中でテンポアップしややストレートでキャッチーな展開の曲です。
バックで鳴らしているキーボードの音色からはどこか爽やかに感じ、
中盤で入るテクニカルなギターソロもキーボードソロもそんな雰囲気ですね。
サビ終わりの方の掛け声的に入る部分は気に入りました。
8 Suicide Bomber
ドラマ性を持ちつつ激しくアグレッシブな曲。
少々抑えめの感じで始まりますが歌メロが入る辺りで疾走感のある展開になります。
Aメロ終わりの後のキーボードの音とギターで演出するドラマティックなパートは初期作品から通じる一つのこのバンドらしさを感じます。
その後の他メンバーによる掛け声的が入るアグレッシブなパートは格好良い。
9 All For Nothing
少しぼかしたピアノの音と歪みを抑えめのギターに囁くようなボーカルでゆったりと始まる曲。
中盤などで少々雰囲気が変わりアグレッシブになるが基本はスローで進みます。
終盤では少々泣きの入るアレキシーのギターソロを聞くことができます。
10 Widdershins
効果的なキーボード音色とアグレッシブなギターリフで展開されるアルバム締めの曲。
基本的に攻撃的なギターが主体の曲だと思うのですが、節々で聞こえてくるキーボード音色のアレンジは見事です。
ラストは1曲目 I Hurtの始まりで流れたノイズ的な音で終わります。
参加メンバー
ギター&ボーカル ALEXI LAIHO (アレキシ・ライホ)
キーボード YANNE WIRMAN (ヤンネ・ウィルマン)
ベース HENKKA BLACKSMITH (ヘンカ・ブラックスミス)
ドラム JASKA RAATIKAINEN (ヤスカ・ラーチカイネン)
このアルバムに対して様々な意見が飛び交っていますが6thアルバム“Blooddrunk”以降を好んで聴けた方ならこのアルバムは良い物だと思います。