ANGRA - ANGELS CRY

今日はブラジルのメタルバンドANGRA(アングラ)の1993年に発売しました1stアルバムANGELS CRY(エンジェルズ・クライ)を紹介&レビューしていきます。

デビューアルバムにして高い完成度でバンドの存在を知らしめた”アンドレ・マトス”時代の名盤です。人気としては以前レビューした名盤REBIRTH”や音楽的な完成度を高めた次アルバム“Temple of Shadows”と並ぶ作品だと思います。

・クラシック音楽の要素を強く入れたパワーメタル

基本は”ハイトーン”ボーカルでのメロディーを重視したメロディックスピードメタル/パワーメタルにクラシックの要素を強く入れた作風です。

クラシック的要素としては多用する”ストリングス”でのフレーズや”ブラス・フルート”を交えた、壮大でシンフォニックなオケの導入ギターのネオクラシカルな速弾きを入れたアプローチも見られますが、

“パガニーニのCapricci(カプリース)”や”ヴィヴァルディの四季(冬)”のフレーズを間奏でアレンジして使う直接的なアプローチも見られ、曲の中での持って行き方やその後の展開は実に見事でとても完成度が高く独自性を強く感じます。

 

・変化的な展開

ストレートなスピードナンバーである”Carry On”が有名ですが、タイトルトラック”Angels Cry”を筆頭に転調での場面変化等の変化的な展開がアルバムを通して多くプログレッシブな面も強くあります。

これは無理やりではなく効果的な変化として使っているのが個人的には見事な展開だと感じます。
またクラシックのみではなく後に強くなるラテン音楽的なテイストも少々見られ表情豊かでもあります。

 

・メロディアスなツインリードのギター

現在では定番の形となっていますが、曲中では”ラファエル・ビッテンコート”と超絶テクニック系のギタリストとして有名な”キコ・ルーレイロ”のツインリードでのハモりのメロディアスなフレーズを多く聴く事ができます。

ソロパートの速弾きではキコ・ルーレイロが主導でテクニカルに展開され、そのフレージングはネオクラシカルな速弾きに行きすぎずロックフュージョン的でもあります。

 
各曲の印象や感想。
アルバム ANGELS CRY 曲目

1 Unfinished Allegro
2 Carry On
3 Time
4 Angels Cry
5 Stand Away
6 Never Understand
7 Wuthering Heights
8 Streets Of Tomorrow
9 Evil Warning
10 Lasting Child

1 Unfinished Allegro
シューベルトの交響曲第8番をアレンジした次曲へ繋がるイントロトラックです。


2 Carry On
メロディアスで疾走感溢れるアルバム内でも特に人気のある彼らの代表曲。
勢いをつけて疾走するメロディーパートからクラシカルテイストのストリングスが入り盛り上げるパートはとても良く、キャッチーなコーラス(サビ)パートも素晴らしい。

間奏でのメロディアスなギターソロも魅力的ですが、その後のブラスの音が入りフュージョン的な展開のパートも意外性があり面白いです。

メロディックスピードメタル/パワーメタルを代表する曲でありアルバムREBIRTH”のNova Eraと良く比較される曲でもあります。

3 Time
クリーントーンのギターにチェロやベースのバッキングで、しっとりと始まるが雰囲気を変え力強く進行する曲。

初めのしっとりとしたパートはメジャーキーで展開されますが、ディストーションサウンドで力強く雰囲気を変えた部分は同主短調に切り替わり、ガラリと雰囲気が変わるのが印象的ですね。
歌メロは通して良いですがアクセントで入るブラスのアレンジが中々格好良い。

間奏ではネオクラシカルでありつつフュージョン的な要素の入ったキコ・ルーレイロのソロが光ります。

4 Angels Cry
クラシカルな要素を含みつつも変化的でプログレッシブな人気のタイトルトラック。

メロディアスで重厚に展開するAメロから、ブリッジミュートでフレーズ感を出したギターと共に疾走感を出したサビの流れは格好良い。

更にそこからガラリと雰囲気を変え展開される変化的な間奏が素晴らしく。スローで重厚に展開したかと思うとテンポを上げ、”ストリングスとギターでアレンジしたパガニーニのCapricci(カプリース)24番”のフレーズへの展開と、見事な流れです。その後ヘヴィで重厚なAメロへの戻りも完璧です。

5 Stand Away
アコースティックギターによるしっとりとしたバラードパートと、シンフォニックな壮大なパートによるドラマチックな曲です。

始まりはしっとりと展開しますが、途中からブラスやストリングスにクワイアが入りオペラティックに神秘的な雰囲気で盛り上げます。

6 Never Understand
その後のアルバムでも聴かれる陽気な民族音楽的な要素の入ったミドルテンポの曲。

曲は通して物悲しくも明るく開放的な雰囲気で展開されます。
間奏でのベースソロからのワウを使ったギターソロも良いですがラストのギターソロの掛け合いが格好良いですね。

7 Wuthering Heights
イギリスのシンガーソングライターケイト・ブッシュ氏の同名の曲のカバーです。
今の20代より上の方はテレビで聴いた事があると思います。

かなり意外なカバーであり少々メタルからは外れますがピアノの伴奏を主体とした美しい曲です。

8 Streets Of Tomorrow
ヘヴィなイントロから雰囲気を変え明るく展開する曲。
メロディーパートでの転調が多く変化的でもありますが、テンポアップし爽快に物悲しくも展開されるサビパートや、その後のロックオルガンの入るロックなパートも中々良いです。

9 Evil Warning
明るくも物悲しさを感じる人気のスピードナンバー。
イントロはメジャーキーで爽やかに始まりますが、コード進行から見て途中からは平行調に切り替わり、その後属調へと転調しマイナーキーで物悲しさを含み展開するのが特徴的です。

間奏での哀愁のあるギターソロからヴィバルディの四季(冬)のフレーズが入ってくる展開はインパクトがあります。その後のギターが入る展開もとても格好良い。

10 Lasting Child
2部構成のアルバムラストの壮大でドラマチックな曲。
第一部”THE PARTING WORDS”ではピアノの伴奏でしっとりと始まりますが、コーラス(サビ)ではストリングスが入り強進行のドラマチックなコード進行で壮大にクラシカルな展開をしとても印象的です。

第二部”RENAISSANCE”はアコースティックギターのアルペジオにストリングス・ブラス・フルート・コーラス音源を使用したクラシック音楽的なインストで、

名の通りRENAISSANCE(再生・復活)を感じさせる壮大な曲です。
正直に言うとじっくり聞いたのはレビューを書いている時ですが素晴らしい曲です。当時購入した時は深くは聞き込んでおらず改めて聴き直し少々驚きました。

参加メンバー
ボーカル         ANDRE MATOS             (アンドレ・マトス)
ギター   KIKO LOUREIRO                    (キコ・ルーレイロ)
ギター      RAFAEL BITTENCOURT    (ラファエル・ビッテンコート)
ベース          LUIS MARIUTTI             (ルイス・マリウッティ)
ドラム         MARCO ANTUNES        (マルコ・アントゥネス)

後続のバンド達に強い影響を与え、メロディックスピードメタル/パワーメタルの中でも名盤一つとされている作品ですのでオススメします。