Ensiferum - VICTORY SONGS レビュー

今日はフィンランドのフォークメタル/ヴァイキングメタルバンドEnsiferum(エンシフェルム)の、2007年に発売されました3rdアルバムVICTORY SONGS(ヴィクトリー・ソングス)をレビュー&紹介をしていきます。

ソングライターでギター・ボーカルの”ヤリ・マーエンパー”が抜け、後に正式加入する”NORTHER”(ノーサー)の”ペトリ・リンドロス”参加後初のフルアルバム。

・フォークメタル+メロデスな色合いの勇壮で熱きヴァイキングメタル

“荒々しいデスボイス”“勇壮で雄々しいクワイア”、”フォーキッシュなフレーズを感じるギター”や民族楽器による民謡調の強いパートを織り交ぜ、力強くドラマチックに展開するフォークメタル+メロディックデスメタルな色合いの、勇ましきヴァイキングメタル。

ブラスやコーラス音源によるシンフォニックな色合いを出しているのも特徴的です。

 

・よりメタルな色合いを強く出した3rdアルバム

それまでのアルバムよりも疾走感を強く出し、よりストレートなメタルサウンドへと変化した作品です。

特徴的だった土着的な哀愁や郷愁的な雰囲気は薄くなったものの、かなり聴きやすく、ノリやすく変化した印象で、フォークメタルやその他の典型的なヴァイキングメタルが苦手な方にも馴染みやすいアルバムです。

 

・フォーキッシュな色合いを強く出す民族楽器

基本的にギターを強く前に出しメタルな色合いの強い作風ですが、バンジョー、マンドリンのカントリー系音楽で使われる楽器。
ブズーキ(ギター系の弦楽器)、ニッケルハルパ(スウェーデンの民族弦楽器)、カンテレ(フィンランドの撥弦楽器)といった聞きなれない民族楽器。
ティンホイッスル、フルートといった多彩な楽器でフォーキッシュや少しカントリーな色合いを出しています

 
各曲の印象や感想。
アルバム VICTORY SONGS 曲目
1 Ad Victoriam
2 Blood Is the Price of Glory
3 Deathbringer from the Sky
4 Ahti
5 One More Magic Potion
6 Wanderer
7 Raised by the Sword
8 The New Dawn
9 Victory Song
10 Lady in Black [*] ※ボーナストラック

1 Ad Victoriam
雷鳴や風の音から弦楽器や笛系楽器、コーラスによる勇ましく壮大なオープニング曲。後半のフレーズはアルバムラストの曲”Victory Song”のサビで使われる工夫が見られます。

2 Blood Is the Price of Glory
デスボイスの咆哮から力強く始まるメロデスよりな疾走曲。

通してメタリックなリフと疾走感をだした激しいドラムにデスボイスのボーカルで力強く展開していきます。
サビでの掛け声的なクワイアや勇壮なギターのリードからはヴァイキングメタル的な勇ましい雰囲気を感じられる熱い曲です。

ソロパート終わりからのアコギのコードから語りとクワイアが入るパートは特に熱い。

3 Deathbringer from the Sky
勇ましいクワイアやクリーンボイスとデスボイスの入り混じるキャッチーなサビが印象的な前曲に続くアップテンポの曲。

ノリの良いギターリフのイントロから前曲の流れを引き継ぐスピード感のある展開で、デスボイスとクリーンボイスが入りユニゾンするキャッチーなサビや、「オーオー、オーオオオー」と勇ましさ溢れるクワイアがとても熱く格好良い。

間奏ではスウェーデンの民族弦楽器ニッケルハルパと思われる音が入ったりと、前曲Blood Is the Price of Gloryよりもフォーク要素が分かりやすく感じられます。

4 Ahti
風が吹き荒ぶSEからバンドサウンドと壮大なコーラス音源が入り、ノリの良いバンジョーのフレーズと共に疾走感を出して突き進む曲。

シンフォニック+フォーク+メロデスといった感じの曲で、”ペトリ・リンドロス”と”サミ・ヒンカ”のデスボイスのボーカルの掛け合いをしながら、爽快にノリ良く進んでいきます。
初めて聴いた時はとても衝撃的な曲の1つでした。

5 One More Magic Potion
ケルティックなダンスソングや民謡曲をそのままメロデスアレンジした様な陽気な疾走曲。
ギターや笛系楽器がノリの良いフォーキッシュなフレーズやバッキングを奏で、その上にデスボイスで陽気に歌うのが特徴的で、初めて聴いた時はとても衝撃的でした。

中盤では一旦場面変化しテンポをおとしますが、軽快なケルト音楽のノリの良さにメタルの疾走感が付加されたとてもテンションの上がる曲です。

6 Wanderer
ミドルテンポの物悲しさを感じさせる曲。
アコギやフルートによるしっとりとした始まりから、バンドサウンドが入り力強い展開へと変化し、クリーンボイス中心の歌メロと哀愁のある民族楽器が物悲しさを感じさせます。

4分30秒過ぎでのソロパートは良い味を出しています。

7  Raised by the Sword
激しさと哀愁漂う物悲しい展開が混在する曲。
複数の笛系楽器によるイントロからブラストビートを使用した激しいバンドサウンドが入り、雰囲気を変えスローでどこか物悲しいクリーンボイスの合唱パートとデスボイスを使用した激しいのパートが交互に展開されます。

イントロから時折見せる笛系楽器によるフレーズが良い感じに哀愁や物悲しさを出しています。

どことなく前作を最後に去ったギター・ボーカル”ヤリ・マーエンパー”によるプロジェクト”WINTER SUN”の曲っぽく感じます。

8 The New Dawn
このアルバムで初参加のギター・ボーカル”ペトリ・リンドロス”による、ギターが前面に出たストレートなメロデスよりのアップテンポの曲。

ブラスによる盛り上げや民族楽器によるフォーキッシュなフレーズが中盤などで現れるものの、基本はデスボイスのボーカルとメタリックなギターリフによる2曲目にも近いメロデスな色合いの強い曲。

所々でかすかにフォークな色合いギターのフレーズや中盤過ぎでのギターソロは格好良い。

9  Victory Song
10分にも及ぶ壮大なラストトラック。
アコースティック楽器によるフォーキーで哀愁漂うイントロから始まり、2分程すると力強いバンドサウンドが入り場面変化。

徐々に盛り上がりを見せ、3分半を過ぎたところからは疾走感を出した熱い歌メロパートへ進み、壮大なクワイアによる郷愁的なサビパートに繋がります。
バックで鳴っているストリングス?やバグパイプが良い味を出しています。

ラストの激しいデスボイスとクワイアが入り混じり盛り上がるサビから、バグパイプやニッケルハルパがサビのフレーズを引き継ぎ終わらせる流れがとても秀逸です。

10 Lady in Black [*] ※ボーナストラック
イギリスのハードロック/プログレッシブロックバンド、ユーライア・ヒープのカバー。
ディストーションサウンドのギターを少し入れているものの、原曲と比べて大きな変化が無いカバーです。

曲終了後に5分ほどの空白があり、ラストの1分半の中に6曲目Wandererと9曲目Victory Songのバッキング無しのクワイア部分が収録されています。

 

参加メンバー
ギター&ボーカル  PETRI LINDROOS  (ペトリ・リンドロス)
ギター      MARKUS TOIVONEN  (マルクス・トイヴォネン)
キーボード      MEIJU ENHO            (メイユ・エンホ)
ベース              SAMI HINKKA     (サミ・ヒンカ)
ドラム             JANNE PARVIANEN       (ヤンネ・パルヴィアイネン)

 

最初期の作風もとても良いですが、一つの分岐点となった作品で、より多くのメタルファンの支持を得たアルバムです。

フォーク/ヴァイキング好きは勿論、勇壮な雰囲気の疾走感ある作品を探している方にはおすすめです。