今日はTONY MACALPINE(トニー・マカパイン)の1987年に発売しました2ndのアルバムMAXIMUM SECURITY(マキシマム・セキュリティ)を紹介&レビューしていきます。
トニー・マカパインはアメリカ出身のギターリスト・キーボーディスト。
“スウィープ奏法”や”タッピング”を織り交ぜたクラシカルな速弾きで知られたギタリストであり、”キーボーディスト”としても活動。
ライブではギターソロとキーボードソロを一人でこなす事でも有名です。
今日紹介する”MAXIMUM SECURITY”はそんなトニー・マカパインの初期の傑作とされる作品です。
・ギターインストの名盤の1つ
ネオクラシカル的な色合いにフュージョンを足した曲調で、アルバムを通して“泣きに満ちたエモーショナルなバラード”から、”味わいあるミドルテンポの曲”、“疾走感を強く出したスリリングな曲”まで、どれも非常に高い完成度の曲で占められた傑作的なアルバムでギターインストの名盤です。
・キャッチーな聴きやすさとテクニカルな凄さの両立
メロディーパートはどれもとても馴染み良いフレージングで、それを軸にし”さりげなくテクニカルなプレイ”を織り交ぜるスタイルで、“キャッチーな聴きやすさ”と”テクニカルな凄さ”を絶妙なバランスで感じさせてくれます。
流麗なツインギターでのハモりを多用するのもとても印象的です。
・優れた曲構成
全体的に各パートがはっきりとしており、難解さはなくシンプルに展開していきますが、”転調”や上で書いたギターのプレイやキーボードでアレンジに適度に変化を付け、単調にならず飽きさせません。
・超絶的な速弾きと味わいのあるプレイ
ソロパートでは“スウィープ”や“ライトハンド”に”オルタネイトピッキング”での超絶技巧的なギタープレイを見せつつも、”チョーキング”や”アーミング”を使った泣きや哀愁を感じさせる味わいのあるプレイを聴かせてくれます。
ゲスト参加している”ジョージ・リンチ”や”ジェフ・ワトソン”とのギターソロの掛け合いもとてもスリリングで格好良いものが多いです。
各曲の印象や感想。
アルバム MAXIMUM SECURITY 曲目
1 Autumn Lords
2 Hundreds Of Thousands
3 Tears Of Sahara
4 Key to the City
5 The Time and the Test
6 The King’s Cup
7 Sacred Wonder
8 Along For The Ride
9 The Vision
10 Dreamstate
11 Porcelain Doll
1 Autumn Lords
TONY MACALPINE – Autumn Lords 【レビュー・感想】
2 Hundreds Of Thousands
【名曲】 TONY MACALPINE – Hundreds Of Thousands 【レビュー・感想】
3 Tears Of Sahara
【名曲】 TONY MACALPINE – Tears of Sahara 【レビュー・感想】
4 Key to the City
キャッチーなギターフレーズが印象的な曲。ミドルテンポでパートごとに転調をしながら重厚に進みます。
通してシンプルなフレーズですが、どれも耳に残る印象的なもので、特に”AパートからBパートへと続く流れが秀逸”に感じます。
5 The Time and the Test
クラシカルなギターフレーズで勢いよく展開するスピード感のある曲。
出だしから哀愁を帯びたギターのフレーズがとても格好良く、1分からの畳み掛けるようなテクニカルなギターソロも素晴らしい。
2分30秒程の短い曲ですが聴きごたえのある曲です
6 The King’s Cup
トニーマカパインとジェフ・ワトソンのギターソロの掛け合いが格好良い曲。
3連で奏でる流麗なツインギターのフレーズを主体としたメインメロディーも素晴らしいのですが、
中盤での”チョーキング”や”アーム”でアクセントをつけながらの、”8フィンガー”や”スウィープ”を駆使した二人のテクニカルなソロの掛け合いがとても格好良いです。
7 Sacred Wonder
ロックの色合いの強いギターリフから伸びやかでキャッチーなギターフレーズが展開する曲。
ギターのフレーズは通して馴染み良いもので、サビの哀愁のあるフレーズが特に印象的であり気に入りました。
雰囲気をそのままに弾かれる味わいのある泣きのソロもとても良い。
8 Etude #4 Opes #10
ショパンのエチュードOp.10 4のカバーです。
他の楽器は入れずピアノのみでそのままトニーマカパインが演奏したものです。
ピアノに関しては詳しくは無いのですが、ギター以前にピアノを専攻として学んでいた彼が、時折いる”ピアノも弾ける”レベルではないのが分かります。
9 The Vision
Tears Of Saharaに続き”ジョージ・リンチ”参加曲。
ザクザクとした刻みからネオクラシカルなフレーズを展開するアップテンポのスリリングな曲です。
Aパートでの軽くミュートしながら規則的に下降するクラシカルなフレーズから、キャッチーなフレーズを主軸としたサビへの展開がとても格好良い。
中盤でのスピード感をそのままにテクニカルなギターソロの掛け合いも爽快でとても格好良いです。
10 Dreamstate
ベースとドラムの特徴的なリズムにメロディアスなギターのフレーズが乗る幻想的な雰囲気の曲。
通してドラムとベースは細かく跳ねる様なアクセントをつけているのに対して、バッキングのギターはシンプルな刻みをしているのが独特のグルーブ感を出しています。
メインメロディーを弾くギターは強くリバーブをかけており、シンセやストリングスでのアレンジも相まって、曲全体はどこかノスタルジックで幻想的な雰囲気があります。
11 Porcelain Doll
アルバムラストのスローテンポで優雅に進行するバラード曲
浮遊感を出したシンセの音と共に、ギターがゆったりと美しいフレーズを演奏し進行していきます。
アクセントで入るトリルやハーモニクスがとても絶妙で、フレーズの流れはクラシック的な優雅さを感じます。
既存のクラシック曲のカバーなのかとも思いましたが、ちょっと曲名が出てきませんでした。
参加メンバー
ギター・キーボード・ベース TONY MACALPINE (トニー・マカパイン)
ゲスト参加
ギター TOMI KOIVUSAARI (ジョージ・リンチ)
ギター JEFF WATSON (ジェフ・ワトソン)
ドラム DEEN CASTRONOVO (ディーン・カストロノボ)
ドラム ATMA ANUR (アトマ・アヌー)
高い完成度を感じさせる名曲揃いのアルバムで、ギタリスト・ギター好きは必聴と言って良い作品ですのでおすすめします。